【シネマ羅針盤】御歳84歳、イーストウッド監督“傑作量産”のナゼ?
と純粋な疑問が沸いてきてしまう。
イーストウッド監督はリハーサルを嫌い、どのシーンもほぼワンテイクで撮ることで知られる。「俳優でもある彼が、出演者の気持ちや立場を理解しているから、早撮りができる」と説明されれば、頭では理解できた気になるが、当然「ナゼ?」の答えには遠く及ばない。それでも、現在84歳のベテランが“残り時間”を意識しながら、興味や関心に対して正直に向き合い、作家として自分なりの真実を刻もうとする姿は、どの作品にも垣間見える。
全米でキャリア最大の興行的成功を収めている最新作『アメリカン・スナイパー』も然りだ。愛国と正義、戦場の狂気…、“硫黄島2部作”にも底通するテーマを「いましか描けない」タイミングでスクリーンに焼き付けた志の高さに、第87回アカデミー賞はどんな反応を示すだろうか。監督賞候補に挙げなかった罪滅ぼしとして、「作品賞」を授けるサプライズもあるかもしれない(似たケースとして、一昨年前には『アルゴ』が作品賞に輝いている)。
『アメリカン・スナイパー』は2月21日(土)より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国にて公開。
(text:Ryo Uchida)
■関連作品:
アメリカン・スナイパー 2015年2月21日より全国にて公開
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