2016年4月2日 10:00
【シネマモード】時代の“記録”に…『無伴奏』70年代ファッションに注目
彼女が纏っているのは、当時流行のアイテムばかり。白いロングブーツ、おへそがのぞくショート丈のトップスとマイクロミニスカートのツーピース、サイケ柄、大きなイヤリングなど、まさに70年代。おしゃれな人って、時代の“記録”になるのね…とつくづく感じました。
少し前までは、「高くてもいいから定番アイテムは良いものを買いなさい、一生モノだから…」などと言われたものですが、実のところ、シンプルなニットだってシャツだって、身頃のフィット感や襟の空き具合、裾や丈の長さ、素材使い、色などが、その時代を生きる人々の気持ちに合うように変化しています。それが例え、ちょっとした違いだったとしても実は大きな印象の違いを生むことはご存じの通り。けっこう奮発して買った一生もののはずなのに、数年後、何だかシルエットがもたついているとか、肩が大きすぎるとか、ほんの微妙な違いで“今”着るには野暮ったすぎて手放す…という経験をお持ちの方もいるのでは?
自分に降りかかればやっかいな違いですが、ただそんな微妙な違いこそ、映画では舞台となる時代の空気感を再現できる美味しい部分。映画作りとは、コツコツとディテールを積み重ねて生まれる世界を写し取るもの。『無伴奏』で、それを実感してみてください。
(text:June Makiguchi)
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