2016年6月26日 09:00
【イマ旬!ハリ・レポ】『X-MEN:アポカリプス』ポスター騒動に見るアメリカ社会
どれもこれも人を思いやれない心から派生した恥ずべき状況だ。そして先日フロリダ州オーランドで起きたゲイ・クラブでの銃乱射大量殺人事件。暴力の最悪の極みといえる。
アメリカには暴力に対して不感症の人間が増えていっているように思えて仕方がない。今回の『X-MEN:アポカリプス』のポスター事件に関しても、映画を通じて社会に大きな影響を与え得る大手映画会社たるものが、セレブに詰め寄られるまで女性の人権を憂いた市民からの苦情を4か月以上も無視したという事態はその証ではないか。女性への暴力を容認する無神経さは、人間全てに対する暴力に対して無神経なのと同等のはずだ。人は誰もが平等であり、お互いを尊重して生きなければいけないのにX-MENのポスターのキャッチフレーズのように「強者のみが生き残る」社会になってしまうのか。
このコラムを書いているうちに、問題のポスターに映るミスティークが世界の弱者たちを象徴し、彼女の首を締め付けるアポカリプスは、社会の中で弱者をつぶしていく心ない強者たちの象徴に思えてきた。
(text:Akemi Tosto)
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