2009年6月30日 19:25
幸せのきっかけはここにもvol.2 『クヌート』が伝える、互いに手を取り合う幸せ
そんなクヌートが、飼育係のトーマス・デルフラインをはじめ、人間たちの助けを借りて(実際に、泳ぎを習ったりしています)、すくすくと育っていく姿を追いかけていきます。
でも、この映画で紹介されているのは、そんなほのぼのとした話ばかりではありません。以前、このコラムでもご紹介したことがありますが、ホッキョクグマは絶滅危惧種。しかも、国際自然保護連合=IUCN(http://www.iucn.jp/)の発表しているレッドリスト(世界の絶滅の恐れのある生物種のリスト)でも、トップレベルにランクされています。
作品では、そんな背景を考慮しつつ、北極で暮らす野性のホッキョクグマと、ロシアのベラルーシで生きる母親のいないヒグマが直面している現実をも記録。さらには、育児放棄された動物=クヌートが、人間から人工哺育されてまで生きるべきなのかという論争があったことまでも言及しています。
クヌートをきっかけに考える環境問題、そして生。すでにこういった問題を真剣に受け止めている人には、さらに深く考えるきっかけとなることでしょう。
もちろん、クヌートとトーマスのように、仲良く手を取り合えるなら、それもいいけれど、これは実際の自然界ではありえない関係。