見上げてごらん、広い空vol.1 フラミンゴに見る、壮大なライフサイクルのドラマ
フランミンゴの赤は、エサである藻類や動物プランクトンに含まれるカロチンによるそう。アフリカのリフト・バレーにあるナトロン湖は、ソーダ塩の強い毒性を持ち、ほとんどの生き物が生息できない湖。ところが、毎年数週間、雨が降る季節になると、水中の微生物が繁殖。この湖特有の赤とオレンジ色の湖に姿を変え、まるで炎の湖のようになるのです。
すると、本能で機を悟ったフラミンゴたちが数百キロ、数千キロの道のりを繁殖のために飛来。その数およそ10万羽。圧巻です。ただし、そのときの羽や体は、お世辞にも綺麗と言えないうす茶けた色。
この時期だけ育つプランクトンの色素を取り込んで、紅い美しい色に染まっていくのです(動物園のフランミンゴは、色素の入ったエサを食べているそうですよ)。その変身を待っていたかのように行われるのが、求愛ダンス。フラメンコの語源となったという彼らの優雅なダンスで、これをきっかけにカップルが一組、また一組と生まれ、新しい命を生み、育み、そして死んでいくのです。
炎の湖に飛来し、そこで紅く姿を変え、子を産み育てる。そんなフラミンゴが、フェニックス伝説のモデルとなったとされていることをご存知ですか?永遠の命を持つとされるフェニックスは、燃える火の中に自ら飛び込んで灰となり、そこから甦るとされています。