ドイツの気鋭俳優トム・シリング、憂いを帯びながらもノーブル『ある画家の数奇な運命』

『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫った『ある画家の数奇な運命』。本作で若き天才芸術家を演じたのはドイツの個性俳優のトム・シリングだ。
本作の主人公クルトのモデルは現代美術界の巨匠であり、ときにオークションで数十億円の価格がつくアーティスト、ゲルハルト・リヒター。そして、その天才芸術家の青年時代を演じたのが、ドイツアカデミー賞で主演男優賞を獲得した『コーヒーをめぐる冒険』(2013)や、天才ハッカー役を演じたサイバースリラー『ピエロがお前を嘲笑う』(2014)など、ひと癖ある人物を演じてきたトム・シリング。
実は将来、俳優ではなく、画家を目指していたこともあるというトム。ナチ政権下のドイツで“自分だけの真の芸術”を見つけるため苦悩する若者の様子は、憂いを帯びながらもノーブルな雰囲気を漂わせている。
本作に出演する準備のため「半年に渡って改めて絵画に取り組んだ」と言い、「この映画の制作のために絵を描いた芸術家と関わりを持ったり、大学での勉強のようなことをしていました」