『母なる証明』ウォンビン&ポン・ジュノ監督インタビュー “目”に隠された意味とは
と語るウォンビンだが、「映画を観た人からは『トジュンにはゾッとする、おぞましい部分がある』という意見もあるんです」と自身も予期していなかった反応があったことを明かす。そう、彼が劇中で見せる不安定な“目”は時折、相手の暗部を見抜くような、謎めいた怖ろしさを帯びる瞬間があるのだ。監督は、その“目”の持つ力を語る。
「今回、意味深長なシーンのときには側面からクローズアップすることが多かったのですが、あるときは顔を背けたりうつむいたり。特に、ウォンビンさんの“側面”にはこだわりました。顔の片側しか見えないということは、もう一方は隠されている状態になりますよね。トジュンには何か、他人が知りえない秘密が隠されているのではないか、というのを示したかったんです」。
中でも、トジュンが片目を手で隠し、ふと思い出した幼少期のある記憶を母親に告げるシーンでは鳥肌が立つような、怖ろしさがある。
「顔は正面を向いてるけど、手で目を隠すことで側面のような表情になる。やがてその手を離すと傷があるという、そういう映像に惹かれたんです。個人的には、このシーンのウォンビンさんの目がとても好きですし、ウォンビンさんにしか出来なかったと思います。