謎多き天才デザイナーの創造性と仕事術『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』場面写真
劇中「既にマルジェラっぽい」と本人が明かす、初めて作ったバービー人形の洋服に加え、過去のコレクションの貴重なショットも確認できる。
監督のホルツェマーは、「ちょうど展覧会の準備中だったというマルジェラにメールを送ったことが本作製作のきっかけだった」と当時を振り返る。「運がよかったのは、彼がパリでの展覧会を準備中だったことだ。僕は展覧会のキュレーターにメールを書き、マルタンへメールを回してもらえないかと頼んでみた。でも返信は何ヵ月も来なかった。だから、また頼んでみた。彼のところには、この類のメールがたくさん届く。つまり多くのフィルムメーカーが彼の映画を撮りたいと思っていたんだ。
僕の2通目のメールは彼の手に渡ったが、他の多くの人も接触していた。マルタンが信頼を寄せる人たちが僕の『ドリス・ヴァン・ノッテン』を観ていてくれていて、最高の組み合わせだと彼に助言してくれたんだよ」と、前作があったことで奇跡的に本作を作ることができたと、制作秘話を明かしている。
なぜ、マルタン・マルジェラは評価され続けるのか?革新的、繊細で優しく、かつ大胆不敵。本質を見極め決して妥協しない、謎に包まれたその創造性と仕事術の全貌が明かされる、珠玉の一作だ。