「池松壮亮の目に引かれた」、『柳川』チャン・リュル監督が語るキャスティングの理由
こういう所では、嘘偽りのない感情が生まれ得るのではないかと感じたことが、この映画を撮ったきっかけです。「柳川」という地名も美しい。中国人の姓にも「柳」があります。あのような美しい所から連想するなら、男ではなく美女ですよね(笑)。なので柳川(リウ・チュアン)という女性が柳川という街にやって来るという設定にしました。そこで生じる感情を、私は映画で表現できると思ったのです。
池松壮亮を気に入り、年齢設定を変更
――中年男女の愛の物語という落ち着いた作品のトーンと、柳川の少し物寂しい雰囲気がよく合っていると思いました。宿の主人を演じる池松壮亮さんは、3人とのバランスを考えると、年齢的に少し若いですよね。
池松さんを選んだ理由は?
当初は兄のチュンと同じ50歳近い男性の設定だったのですが、東京で池松壮亮さんに会って、一目で彼のことが好きになりました。彼も出演したいと言ってくださったので、設定を変えたのです。本作に登場する3人の男性の中で、彼の役は一番若いのですが、人生経験はほかの2人に劣らない。70、80歳で気持ちが若い人もいれば、30過ぎで老成している人もいますよね。
――池松さんのどういうところに魅力を感じたのですか?
まず彼の目です。