「池松壮亮の目に引かれた」、『柳川』チャン・リュル監督が語るキャスティングの理由
演じている時、非常に集中した眼差しをしていて、心を乱されない力がある。それに彼の話しぶりや立ち居振る舞いも、実際の年齢より落ち着いています。ご本人も物静かな人で、劇中のドンと似ているところがあると思いました。
――中国の俳優たちとの掛け合いも、とても自然でした。事前に交流する時間を設けたりしたのですか?
事前の交流は特にありませんでしたが、キャスティングがうまくいったということでしょう。池松さんはとても自然で、役柄そのものでした。私は運がよかったのです。何も難しいことはありませんでした。
「夢にも思っていなかった」中野良子との仕事
――中野良子さんの出演に驚く日本の観客は多いと思います。どのような経緯で出演が決まったのですか?
私がファンだったからです(笑)。40歳以上の中国人で、中野良子さんを知らない人はいません。中国で『追捕』(『君よ憤怒の河を渉れ』の中国語題)が公開されたのは、ちょうど改革開放(1978年に開始された経済政策)が始まった頃で、中国人は外の世界がどういうものか知らなかった。映画を通して、東京の街や日本の様子を知ったのです。特に、高倉健さんと中野良子さんが街の中を馬で駆けるシーンは忘れられません。