2023年4月9日 11:00
【ネタバレあり】『キル・ボクスン』で堪能するチョン・ドヨンの反転魅力と反逆
には普通の母親として生きる人生を奪われた。その妹チャ・ミニ(イ・ソム)の策略によって、結果的に飲み仲間の殺し屋たちや後輩で恋人のヒソン(ク・ギョファン)までも失った。「今作では伝説級の強さだから殴られることはないかも」と油断していたが、チャ代表はダース・ベイダー並のチョークをボクスンにも繰り出す容赦のなさだ。
だが、そんなチャ代表を相手にしても、最後にはきっちり弱みを突いてやり返していた。父親からなり代わった暴力の呪縛を、自らの手で解き放ったのだ。
それには、ボクスンと娘ジェヨンの抱えるジレンマがリンクしたことが大きかった。「レズビアンであることは何も悪くないのになぜ隠すのか」というジェヨンへの問いかけは、暗殺を請け負う自らの罪悪感をも照らした。そして、「自分に正直でいたかった」とこぼしたジェヨンに背中を押されるように、ボクスンも自分自身に正直でいられる道に気づかされることになる。
生き甲斐ともいえる、楽しくてやめられない“仕事”はこれからも続けていくだろう。再びオ代議士のような輩が現れた際には、必ずや成敗してくれるはずだ。
『キル・ボクスン』はチョン・ドヨンが反逆に成功する映画だ。