「音楽を捧げたい」ミューズとのささやかなひと時『ボレロ 永遠の旋律』本編映像
ラヴェル研究の第一人者といわれるマルセル・マルナによる伝記や批評をこの映画のバイブルにしたというアンヌ・フォンテーヌ監督は、「ミシアとラヴェルは若い頃、1900年代初頭に知り合いました。ふたりが特別な関係を持っていたことは分かっていますが、正確な内容は謎のままなんです。ふたりのシーンは真実に即した指針に基づいてはいますが、私はフィクションの中で真実を描こうとしました」と説明。
さらに、アンヌ・フォンテーヌ監督は「謎に包まれたラヴェルのプライベートを紐解いていくうちに、ラヴェルはミシアと充実した恋愛関係を築くことができなかっただけでなく、男女間あるいは同性間の恋愛であっても誰とも深い関係を築かなかったのではないかという考えに至りました」と語っており、アンヌ・フォンテーヌ監督自身はラヴェルをアセクシャルな人物だったのではないかと解釈したという。
このシーンからも伝わるように、自分の心に蓋をして抑圧を自ら作り出すことでストイックに作曲活動に打ち込んでいたラヴェル。
アンヌ・フォンテーヌ監督はさらに「イダやミシアなど、ラヴェルを取り巻く彼女たちは一種のコーラスを構成し、『ボレロ』を創作するラヴェルを後押ししています。