味の好き嫌いに応じて、顔の皮膚の血流量は変化する - 東工大などが発見
実験は、被験者15名を対象に安静時と、味覚刺激中(オレンジジュース、コンソメスープ、苦いお茶、コーヒー、チリソース、水)に顔の皮膚血流を「レーザースペックル法」によって計測し、刺激中の血流の相対変化量の算出が行われた。なおレーザースペックル法とは、光の干渉の変化する速さが、測定対象表面にある物体の移動速度と関連することを用いた非接触の血流測定法である。また、与えられた味覚の好き嫌いを表す主観的嗜好度については、11段階の主観的嗜好尺度法を用いて測定された。
その結果、おいしいと感じられた刺激(オレンジジュースとコンソメスープ)を与えた際にはまぶたの血流が増加することが判明(画像1・2)。つまり、主観的なおいしさとまぶたの血流の相対的増加量との間には相関関係が確認されたというわけだ。一方、おいしくないと感じられた刺激(苦いお茶)では、鼻や額の血流が低下することが判明。これら結果は、顔の皮膚血流が味覚に対する好き嫌いに伴って特異的に変化したことを示しているとした。今後の展開としては、食品開発場面において、プロでも長期間のトレーニングが必要な味の官能評価に適用できると考えられるという。
応用的には、臨床や介護場面において、意思疎通の困難な者(例えば重症筋萎縮硬化症や筋ジストロフィーの患者)の味覚を客観的に判定でき、個人の嗜好に合った食事を提供することができると考えられるとしている。