2014年9月29日 08:30
航空機とIT (19) 航空機の設計と製作(2) 組み立て工程と部品の管理
の活用により、作図、図面の管理、履歴管理といった作業は効率的になっただろうし、CADによって用意した設計データを工作機械に直接流し込めば、図面通りの製品を精確に造る作業も効率化できる。
それでも当然ながら、実際に製作に携わる「人」という要素は無視できない。たとえば、軽量化のために電線や電線の被覆の寸法を抑えれば、それだけ取り扱いが難しくなる。実際、ある戦闘機を設計した際に、軽量化のために機内で使用する電線を細くしたら、製作工程でその電線がポキポキ折れてしまい、歩留まりが悪くなって大変だったそうだ。こういうのはコンピュータだけが頑張ってもどうにもならない。
また、部品を高い精度で造っても、それを組み合わせる作業も正確に行わなければ、精度の高い完成品はできない。実際、最近の航空機の組み立てに際しては、レーザー光線を使った位置決めまで行われている。レーザー・ビームは細くて直進性が高いから、それを活用すれば精確な位置決めを行えるという理屈であるらしい。
基本的には、治具を用意してそこに部品をセットした上で、溶接したり、あるいはリベットやボルトとナットで連結したりする。それは今も昔も変わらないが、その際の位置決めをどこまで精確にやるかというところで違いが生じるわけだ。