2014年9月29日 08:30
航空機とIT (19) 航空機の設計と製作(2) 組み立て工程と部品の管理
ことにステルス機というのは高い精度を求められる。なにしろF-117Aの試験飛行を行っていたときに、機体外部に露出する部品の固定に使用していたビスが何本か緩んでいただけで、レーダー反射が急増したというから侮れない。
ビスをちゃんと締めるだけでなく、それ以前の段階として機体の外形を構成する部品の位置合わせを正確に行わなければ、段差や隙間ができてしまうだろう。するとそれは、想定外のレーダー反射を引き起こす要素となり得る。ステルス性を持たせた機体を設計するだけでも大仕事だが、その設計通りに機体を作り、かつ維持する作業もまた、大仕事だったというわけである。
○部品の履歴管理
また、航空産業でうるさくいわれる課題のひとつとして、部品の履歴管理がある。つまり、サプライヤーが製作・納入する個々の部品について、どこから材料を調達して、どういう内容の加工を行ったのかを記録しておかなければならないという話だ。しかも、部品の種類ごとではなく、一点ごとにである。
どうしてそういう話が出てくるかといえば、後でトラブルが発生したときの原因追及に関わってくるからだ。
たとえば、機体構造材を構成する部品の中に、不適切な加工作業や熱処理を行ったものが紛れ込んでいて、それが原因で破損事故が生じたとする。