2014年10月16日 09:00
大阪大学、子供の脳の発達には周囲からの刺激が重要と分子レベルで証明
大阪大学はこのほど、視覚や触覚などの感覚刺激によって分泌されるタンパク質が、発達期の脳神経ネットワーク形成に重要な役割を果たすことを発見したと発表した。
同研究成果は同大学大学院生命機能研究科細胞分子神経生物学研究グループの早野泰史 研究員(現所属:同大学医学系研究科研究員)、山本亘彦 教授らの共同研究グループによるもので、10月6日発刊(現地時間)の「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」に掲載された。
発達期の子供の脳では、神経細胞(ニューロン)から成長した「軸索」という突起が、その末端で枝分かれして、複数のニューロンと結合することが知られている。この軸索分岐は神経回路の機能を左右する現象であり、この過程に異常が生じるとさまざまな機能障害を引き起こすと考えられている。しかし、軸索分岐をコントロールする分子機構についてはこれまでわかっていなかった。
同研究グループは、さまざまな研究方法を用いて「ネトリン4」と呼ばれるタンパク質が生後の大脳皮質で作られ、感覚情報を中継する「視床ニューロン」