2014年11月11日 19:43
体内時計の発生に細胞分化が関係 - 京都府立医科大学がメカニズムを解明
しかし、体内時計の発生メカニズムは今までほとんど分かっていなかった。
八木田教授は、マウスES細胞を用いたこれまでの研究で、ES細胞に体内時計のリズムが見られないこと、培養皿上で分化誘導培養すると細胞自律性に約24時間周期の体内時計リズムが形成されることを世界で初めて発見していた。この発見から、体内時計の発生が細胞分化制御と何らかの関連があるのではないかということが示唆されていた。
同研究グループは今回、マウスES細胞を用いた研究で、細胞分化に関連する遺伝子を欠損したES細胞では、分化誘導によっても体内時計が正常に形成されないことを突き止めた。また、体内時計リズムがない細胞には共通して、周期的に核内に蓄積されるはずの「PERIOD(PER)」というタンパク質が細胞質に留まり、その結果核内蓄積が起こらないことが判明した。
この現象の制御する鍵因子を同定するために研究を進めたところ、タンパク質の核内への移行を制御し、細胞分化制御に必須の役割を果たすインポーチンの一種に異常が起きると、PERタンパク質の細胞内局在パターンにも異常を来すことが確認された。同研究グループは、細胞分化と体内時計という普遍的な細胞機能に、これまで考えられていなかった新たな関係性を見いだしたことで、これまで統一的見解が無かった体内時計と「がん」との関係の理解や、新たな体内時計の活用法開発などの応用にもつながると期待されるとしている。
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