欧州債務危機から約5年経った今、ユーロ圏や通貨ユーロに、再び動揺がみられています。今回は、単一通貨ユーロの成り立ちを振り返りながら、足元のユーロ圏の状況について、調べてみました。
○単一通貨ユーロ
ユーロは、1999年に欧州諸国で導入された単一通貨です。2002年に、ユーロ紙幣・硬貨の流通が開始され、現在では、ドイツやフランスなど、19カ国で導入されています。
欧州は、過去の戦争への反省や、欧州の地位を高めるために、EU(欧州連合)などを発足させ、経済や政治を統合して「ひとつの欧州」を目指し、その一環として通貨の統合を行なっています。ユーロ圏諸国では、貿易や資本取引をする際に、為替変動で損失を被るリスクがなくなり、外貨両替手数料もかからないなど、貿易や資本取引の障壁が低減されることで、圏内の経済活動の活性化が期待できるなどのメリットがあります。
一方、ユーロ圏の金融政策は、ECB(欧州中央銀行)を通じて、単一の金融政策として行なわれるため、各国は独自の金融政策を行なえません。一元化された金融政策では、それぞれの国の事情に適合しない場合があるなどのデメリットがあります。
例えば、ある国の景気が悪化した場合、その国の状況に応じた金融政策が行なえないために、機動的な景気刺激策を打ち出しにくく、国内景気の回復を促すことができず、景気回復に時間を要する可能性があります。