今から20年近く前だったか、輸入牛肉を食べようというテレビCMがあり、そこで若い男女が演じた会話が今でも耳に残っている。
女「なんでアメリカの牛肉っておいしいんだろ?」
男「しょうがねえだろ、アメリカなんだから」
あまりに富んだ機知に、思わず笑うことすら忘れたが、当時、外車の中古車に乗り、外国製の万年筆を使い、味などわかりもしないクセにワイン通を気取っていたボクに、もはや笑う資格などなかった。ポケモンにピカチューにトモダチは、20年前のボクにとってベンツにモンブランにブルゴーニュであり、今回、白痴ナンパ師にバカにされた日本の女の子は、いやはや西洋文化を盲目的に信仰していた20年前のボク自身ではなかったろうか?
日本人には日本人らしさがある。そんな当たり前のことに気がつくのに幾星霜。そして日本人らしさこそ、実は国際社会に通用する唯一の日本人のアイデンティティである。前出の同じ時期、サッカー元日本代表のラモス瑠偉が、日本の若者に向かって、「日本人ならお茶漬けだろ!」と叫んでいる永谷園のCMがあったが、こちらも素直には笑えなかったが、溜飲が下がった思いがしたのも事実である。まぁ、そんなことはどうでもいい。