職場のストレスだけがうつの原因ではない! 最近増えている「新型うつ」とは
初めて診察室を訪れたときの訴えは、「忙しくて仕事をこなしきれない。意欲が低下し処理スピードが低下、残業続きになり朝起きられず、やがて会社に行けなくなった」というものだった。他の症状とも合わせ、波多野先生は「適応障害」の診断基準を満たすと判断、少量の向精神薬を処方するとともに、休息が必要との診断書を作成した。
Aさんは休職後しばらくすると外出可能となり、電車に乗って繁華街にある趣味の店に行けるようになった。波多野先生は、復職に向けて趣味の店から程近い職場最寄り駅まで通勤訓練をするよう指導した。
しかし通勤訓練中、駅に近づくとめまいがして気分が悪くなり、まだまだ復職は無理だと本人がいう。Aさんは趣味を楽しむことはできても復職までには時間がかかり、給与の3分の2を保証する「傷病手当」が切れる期限(1年半)ギリギリまで休職し、やっと元の職場に戻ることができた。
○休職と復職を繰り返し、最後には退職
Aさんは復職後にしばらく通院を続けたが、数カ月後に通院を中断。
その後また「うつ状態」で会社に行けなくなったと来院した。本人にはさほど悲壮感はない。さらに再度復職してもすぐ会社に来られなくなってしまう。