職場のストレスだけがうつの原因ではない! 最近増えている「新型うつ」とは
本人もつらいだろうが、困ったのは会社も同じである。
波多野先生は、「正式な医学用語ではありませんが、『新型うつ』という言葉が最近使われるようになっており、Aさんはそのケースにあたるかもしれません」と指摘する。
「私は時に励まし、時に叱って社会に適応するよう促しましたが、なかなかうまくいきませんでした。3回目の復職時には自宅から遠い事業所に配属され、2、3日で出勤できなくなって退職を余儀なくされました。こうしたケースではご本人の権利を守ることも大切ですが、同時に医療機関や会社、労働基準監督署、健保組合など関わりをもつ周囲も対応に苦慮します。ご本人が医療機関の診断書を理由に出社しないこともあり、会社の同僚や上司の方も気を遣って疲れてしまうこともしばしばです」。
○若者を見守る人たちにも手を差し伸べる必要性
昨今は、不当なノルマや過重な業務量で社員を追い込み、うつを発症させるいわゆる「ブラック企業」の取り締まりが叫ばれている。このように、上司や先輩を含めた「会社」から若者ら「個人」への過度のストレスが引き金となって起こるうつもある一方で、今回波多野先生が紹介したようにやや趣が異なるうつもある。