韓国、月探査ローヴァーの試作機を公開 (3) 打ち上げまで残り6年弱、迫るタイムリミット
さらに、羅老号では第1段がロシア製であったことから、発射台の設計もロシア側が手掛けたため、KSLV-IIでは最初から、韓国自身の手で設計しなくてはならない。推進剤の貯蔵や、ロケットへの充填、打ち上げ前の状態確認といった、ロケットを打ち上げまで導くシステムもまた、そう簡単に造れるものではない。
技術は奇跡や魔法ではないから、時間をかけさえすれば、いつかは韓国のロケットで打ち上げられた韓国の月探査ローヴァーが月面を走り回る日はくる。しかし、2020年まで残された時間はきわめて短く、設計したものが設計した通りに動き、失敗らしい失敗をしないという、奇跡のようなことでも起きない限り、この目標を達成することは難しいだろう。実際、韓国内でも専門家らによる悲観的な発言が多く報じられており、政権が変わる2018年か、あるいはそれ以前に、計画が見直される可能性は高い。
「2020年に月着陸」という目標を達成するための選択肢のひとつとして、他国のロケットで打ち上げることも考えられよう。だが、そもそも韓国が月着陸計画を予定より早めた背景には、北朝鮮が韓国よりも早く人工衛星の打ち上げに成功し、その能力を今も持ち続けていることがある。