「謝罪」は人間関係の潤滑油 - 『なぜ一流の人は謝るのがうまいのか』
○謝ることは「おもてなし」
本書における「謝罪」は、「自分に非があることを認め、相手に詫びる」ということだけにとどまらない。たとえば、本書ではミーティングのために来てくれた相手に対して、
「お忙しいのに時間をつくっていただいて申し訳ありません」
「雨の中、ご足労いただいて申し訳ありません」
「すいません、缶コーヒーしかなくて」
「こんな狭い場所ですいません」
と、ミーティングの冒頭からできるだけ謝ることが推奨されている。
これは、別に悪いことをしかたら相手に詫びているわけではない。コミュニケーションを円滑にするために、挨拶の一種として謝っているだけだ。「別に悪いことをしているわけでもないのに、ペコペコ頭を下げるなんて」と思ってしまう人もきっといるだろうが、実際このような「挨拶としての謝罪」を冒頭に行うことで、ミーティングを和やかな雰囲気で進められるようになることはよくある。ある意味では、このような謝罪は「おもてなし」の一種だと言えるかもしれない。「こっちに非がない限り頭は下げない」と意固地になるのは簡単だ。論理的には、そちらのほうがスジが通っているのかもしれない。
しかし、そうやってスジを通したところで得られるものは別になにもない。