【後半】日産的ソーシャル活用 - お客様の潜在意識に「日産 いいね」を
日産自動車(日産)の「新型スカイライン 乗らず嫌い試乗会」――。新型スカイラインに否定的な「アンチユーザー」だけを集めて試乗会を催し、そこでのユーザー体験をオンラインで共有させるという試みだ。その背景には、ネガティブ・コメントが寄せられたことを性能と世評のギャップを埋めるチャンスと捉え、果敢に取り組む姿勢があった。
後編となる本稿では、日産におけるソーシャルメディアマーケティングの役割と考え方に迫りたいと思う。
○体験の共有で新たなブランドを創る
前編にて述べたように、試乗会の参加者全員が新型スカイラインに対する悪印象を好印象に変えたわけではない。だが、そうした結果も、試乗会の結果に「リアリティ」を与える意味では有意義だったようだ。
「試乗会の参加者全員が新型スカイラインのファンになってくれるのが本当は理想なのでしょう。ですが、現実はそう甘くはありませんし、そうならなかったからこそ、試乗会でのユーザー体験がよりリアルになり、他のユーザーから見て魅力的で、共感しやすいコンテンツになったと考えています」(冨井氏)
2015年3月時点、円安の追い風もあり、世界市場における日本の自動車メーカーの業績は好調だ。