エアアジア8501便の墜落原因とは? 現代の航空技術が直面する問題を分析
急上昇後に起こることとして専門家の意見が一致しているのが「失速」。翼を流れる空気の乱れが失速を引き起こし、機体は重力に勝てずに落下する。この状態になるとエンジンは無力で、機体の制御が難しくなる。また、高度と速度には関連があり、高度を上げていくと、飛行可能な最低速度と最高速度の数値が近づいていく。
QZ8501便のように高所を飛行する際は最低速度と最高速度の差が縮まり、その"コフィン・コーナー"と呼ばれる飛行可能な範囲を外れると失速は免れなくなってしまう。しかし、先述のとおり機長はベテラン。失速の対応もパイロットが最初に教わることの1つであるため同番組では「失速からの回復は十分可能だった」と見ていて、操縦不可能な事態は外的要因が関係しているとも考えられる。
2009年6月1日に発生したエールフランス447(以下AF447)便墜落事故は、計器の故障が原因だった。
乗客乗員約230人が搭乗したAF447便は、リオデジャネイロを出発してレーダーから消失。その後の捜索活動に携わった調査官は、QZ8501便と共通点が多いと指摘する。AF447便は熱帯収束帯で悪天候に遭遇。機体の表面に設置されている対気速度を測定する装置「ピトー管」