兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (7) カレー沢薫の華麗なる交友関係
だがしかし、それだともう近所のちょっと絵の描けるおっさんを集めて飲むしかない。だが、そのちょっと絵の描けるおっさんだって、突然世に見出されて「画伯」と呼ばれる可能性があるかと思うと油断できない。もう犬を集めて飲むぐらいしかできないのだが、それではワンちゃんがかわいそうである。やはり何をどう考えても、「欠席」が一番幸せな選択肢となるのだ。
漫画というのは、本当に誰がいつ売れてもおかしくない世界である。自分のようにくすぶっている同業仲間を作った所で、相手が突然売れてしまうかもしれないのだ。その時自分が友の成功を喜べるかというと、完全に否だ。全力で足を引っ張ろうとするし、脳内でパンチとキックをお見舞いするだろう。
当方、ツイッター等で流れてくる、会ったこともない作家の作品のアニメ化などに一日中ムカついていられる逸材なのである、近しい人間のサクセスなど許せるわけがない。そのため、「同業者とはあまり関わらない方がいい」というのが現在の私の結論である。
それだけではない。同業者だけでなく「同業志望者」も駄目だ。漫画家を目指す若者に「漫画家は大変だよ(笑)」などと先輩ぶった後に、その若者がデビュー作で100万部売ったとかいう展開になったら目も当てられない。