生き物たちの驚きの能力に迫る (2) 「世界最大」で「世界一臭い」花を追い求めて20年! - 写真家 山口進氏
と呼ぶそうだ。ブンガは「花」、バンカイは「死」や「死者」という意味がある。山口さんによると「開花時に腐ったような強烈なにおいがするために、忌み嫌われている」とのこと。そのため、つぼみを見つけると村の人が切ってしまうというのだ。
しかし山口さんのテーマである植物と昆虫との共生関係を調べるには「開花時の観察が必要」。花は開花の時に一大ドラマを展開するし、開花を見ずに花の生態を知ることはできないという。しかしショクダイオオコンニャクのつぼみを見つけるのは至難の業だ。
なぜか。
理由は2つある。1つは生育場所。もう1つは花芽を見極めるむずかしさだ。
「ショクダイオオコンニャクの花は雨季の3月ごろに咲くことが多い。分布域はスマトラ島を南北に走るバリサン山脈の谷間の急傾斜地です。胸突き八丁の厳しい山道で、さらに雨期、粘土質の土はすべります。紅茶のプランテーションを管理するために作られた幅30センチほどの細い道を伝って、もがきながら花芽(つぼみ)を探します。広い谷間のどこにあるかわからない花芽を探すのは大変なので、村人にも協力を頼みます」(山口さん)
さらに困難なのは、せっかく芽を見つけても、その芽が花になるか葉っぱになるかわからないことだ。