生き物たちの驚きの能力に迫る (2) 「世界最大」で「世界一臭い」花を追い求めて20年! - 写真家 山口進氏
開花から4~5時間後、ようやくニオイは収まる。
開花後、次の動きが始まるのは約14時間後だ。「花の内部のおしべから、まるでところてんを押し出すように、『花粉の糸』が出てきます。するとそれまで静かだったシデムシが興奮して動き回り、花粉まみれになる。花粉糸は粘着性があり、シデムシの身体にこびりつきます。この(花粉まみれの)シデムシが花から出て、他の花まで花粉を運ぶと推測できます」
開花から3日後には肉穂が倒れてすきまができ、そこからシデムシが脱出。開花約2か月後には実ができるという。見事に結実に成功したのだ。
「シデムシが花粉を媒介しますが、シデムシが花の内部に入ることによって花粉を落とし、めしべの先に花粉がつく。つまりシデムシは花粉を落とすために呼ばれているのではないかとも考えられます」シデムシの役割については、今後の課題でもあるようだ。
ショクダイオオコンニャクの実はどんな味がするのだろうか? 山口さんはなんでも食べる癖があり、食べてみたという! その感想は? 「ほのかに甘いが、3分ぐらいすると口から喉までしびれました。非常にえぐい」。
スマトラの地元住民と信頼関係を築き、世界一発見が難しい花の観察を続けてきた山口さんは、「花のネットワークができて、最近ではいつ頃、どこで咲くかがわかるようになった」