生き物たちの驚きの能力に迫る (2) 「世界最大」で「世界一臭い」花を追い求めて20年! - 写真家 山口進氏
「仏炎苞(ぶつえんほう)は今にも開きそうでゴムのように弾力がある。夕方4時頃、仏炎苞の端がぶるっとふるえた」山口さんが花が動くのを初めて見た瞬間だ。この段階で開花することを確信したそうだ。
「1時間半ほどかけて徐々に花びらが開くが、肉眼では確認できないほどゆっくりしたスピードです。満開になったのは夜7時半から8時ごろ。開花しきった段階ですごいニオイがしてきました。長さ数キロの谷ですが、腐った魚を焦がしたような、ネズミが死んで腐ったようなニオイに谷中が満たされる。ニオイの放散が始まると同時に、花から湯気が見えました」。
山口さんによると、この湯気がニオイのもとだという。
「ショクダイオオコンニャクは中央の肉穂が空洞になっていて、開花までニオイ成分を貯めこんでいます。そして仏炎苞の体温をあげる。通常は30度前後の体温が開花時は38度まで上昇していました。発熱することでニオイ成分を蒸散させるのです」(山口さん)
○強烈なにおいに引き寄せられる昆虫シデムシ
そしてこの強烈なにおいに引き寄せられて昆虫がやってくる。シデムシだ。「興奮しながら花に寄ってきて、触覚でニオイの元を探ろうとして花の中にどんどん入っていきます」