シリコンバレー101 (612) データが伝えるベースボールの面白さ、MLB観戦を変える「Statcast」
というリンスカム並みに伸びのあるフォームで投げ込む。その結果102マイル(164キロ)を超える剛速球が生まれるのだ。納得である。
Statcastは昨年のオールスターでデビューし、ワールドシリーズにも用いられた。昨年のオールスターでは、カリフォルニア・エンゼルスのマイク・トラウトが2塁打と3塁打を1本ずつ放ってMVPを獲得した。3塁打は外野から三塁にボールが届く前にベースに到達していた"余裕"の3塁打だったが、それには理由がある。Statcastで2塁走者だったデレク・ジーターとトラウトの走塁を比べてみると、トラウトは快足なだけではなく、3つのベースを効率的に回れる走路を確実に走っていた。
これまでならボールよりもずっと早く2塁や3塁にすべり込んだプレーは、実況の「楽々セーフ」の一言で終わっていた。
今は余裕のプレーの背後にあるスゴさをStatcastで理解できる。
データ収集を重視するチームはかなり前からプレーの詳細なデータを収集し、戦術の組み立て、トレーニング、スカウティングなどに役立てていた。Statcastが用いているようなデータは以前から存在していたが、解説・実況の場合、ただ数字を並べても視聴者は興ざめである。