中国の全地球衛星航法システム「北斗」と、新型上段「遠征一号」 (2) 2020年の完成を目指す「北斗」
だが、中国が独自のシステムを持つことで、米軍が利用しているとのほぼ同じ精度での航法が可能になる。サーヴィスの対象地域が全地球へ広がれば、例えば中国海軍が外洋に出て行こうとする際には特に役立つことになろう。また衛星航法システムは武器の誘導にも使え、領土問題を抱える隣国に対して優位性を獲得することにもなる。
また、サーヴィスの対象が中国国外にも広がったことで、日本人が利用する機会も増えていくだろう。
北斗が出す信号はGPSやGLONASSなどとは互換性がなく、専用のチップを積まないと利用ができないため、今現在日本で売られているカーナビや携帯電話などは、そのままでは北斗を使うことはできない。もっとも、これはGPS専用端末ではGLONASSが利用できないとの同じで、北斗だけに限った問題ではない。ただ、北斗の信号を受信するための技術仕様は公開されているため、例えば中国製、韓国製の携帯電話などを手始めに、北斗に対応した機器が日本に入ってくることはあるだろう。ただ、現在すでにGPSとGLONASS、地上の基準局などの組み合わせで、地図案内などには十分な精度が出せており、いずれ「みちびき」システムが完成すれば、補正が入ることでより正確になる。