くらし情報『中国の全地球衛星航法システム「北斗」と、新型上段「遠征一号」 (3) 人工衛星を目的の軌道まで送り届ける「遠征一号」』

中国の全地球衛星航法システム「北斗」と、新型上段「遠征一号」 (3) 人工衛星を目的の軌道まで送り届ける「遠征一号」

この性能を生かして、複数の衛星を異なる軌道に投入したり、静止衛星を直接静止軌道に投入したりすることが可能だ。また同じロシアの「フリガート」という上段も、最大3日間の軌道滞在と、20回以上ものエンジンの再点火が可能な性能を持つ。

また米国にも「セントール」という、改良されながら半世紀以上も使い続けられている高性能な上段があり、現在でもアトラスVロケットの上段として使われている。

日本では長らく上段らしい上段は持っていなかったが、最近になりH-IIAロケット第2段を改良し、運用可能時間を従来の約1時間から約5時間にまで強化する試みが実施されている。本格的な初飛行は今年末ごろになる予定だが、すでに一部の技術は、2014年末の「はやぶさ2」の打ち上げで使用されている。

一方、中国も再点火が可能なエンジンを持つ第3段を装備したロケットはあったが、衛星を直接目標の軌道に投入したり、複数の衛星を異なる軌道に投入するには力不足であった。そこで開発されたのが、今回初飛行した「遠征一号」だ。○人工衛星を目的の軌道まで送り届ける「遠征一号」

遠征一号は「長征三号」ロケット・シリーズの第3段と、搭載する人工衛星との間に装着される。

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