中国の全地球衛星航法システム「北斗」と、新型上段「遠征一号」 (3) 人工衛星を目的の軌道まで送り届ける「遠征一号」
長征三号シリーズは3段式だから、遠征一号を搭載することで4段式ロケットになる。また遠征一号、積み荷である衛星と一緒にフェアリングの内部に収められており、打ち上げ時は外部に露出していない。
遠征一号は球形の推進剤タンクを持ち、それを4つ四角形状に並べ、その中心にできる隙間にロケット・エンジンを装備している。エンジンの推進剤には四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンの組み合わせを使用し、2回の再点火が可能だという。軌道上での運用可能時間は最大で6.5時間とされる。開発と製造は、長征二号ロケットや長征三号ロケットの製造も手掛けている中国運載火箭技術研究院(CALT)が行っている。
外見やタンクとエンジンに配置などから、おそらくはロシアのブリースやフリガートを参考に開発されたものと推測される。エンジンの再点火可能回数や、軌道上での運用可能時間などの性能はブリースやフリガートより劣っているが、これには2つの理由が考えられよう。
1つ目は、中国がこれまでに、この手の上段を開発したことがないことから、技術を持っていないためという可能性だ。ただ、上段という形ではないが、いくつもの人工衛星や有人宇宙船「神舟」