中国の全地球衛星航法システム「北斗」と、新型上段「遠征一号」 (3) 人工衛星を目的の軌道まで送り届ける「遠征一号」
○遠征二号とTY-1、先進上段
いくつかの報道によれば、現在より大型の「遠征二号」の開発も進められているという。これは同じく現在開発中である大型ロケット「長征五号」に搭載できるように造られており、長征五号に合わせて大型化され、エンジンも2基装備される。エンジンの再点火可能回数や、運用可能時間など、性能についてはまだ情報はない。遠征二号が完成すれば北斗衛星を最大4機同時に打ち上げることが可能になり、北斗システムの構築や維持がより効率良くできるようになるという。
また、主に低軌道や極軌道への衛星打ち上げに使われている「長征二号」ロケットや「長征四号」ロケットに使用できる上段「TY-1」の開発も行われている。手掛けているのは上海航天技術研究院(SAST)で、同研究院が開発中の新型小型ロケット「長征六号」にも使用できるという。具体的な性能は不明だが、主に小型衛星を複数載せることを意図しており、最大で10機の衛星を異なる軌道に乗せることができるとされる。またTYは中国語の名称の頭文字であることは間違いないが、元の名前が何であるかはわかっていない。
TY-1が「多星発射上面級」、英語では「Multi-Launch Upper Stage」