理研、超並列分子動力学計算ソフト「GENESIS」を無償公開
特に、スパーコンピューター「京」など非常に多くのCPUを備えたコンピューターの性能を最大限活用するためには、新しい計算アルゴリズムを導入した分子動力学シミュレーションソフトウェアの開発が必要とされていた。
共同研究チームが開発した「GENESIS」は、「京」のアーキテクチャを考慮に入れた独自の計算アルゴリズムを導入することで並列計算を効率化し、細胞環境を想定した1億個の原子で構成される系に対しても高速な分子動力学シミュレーションを実現した。「京」を用いた計算では、バクテリアの細胞質分子混雑環境を模倣した約1170万個の原子を含む分子集団系に対して1日あたり17.5ナノ秒、約1億370万個の原子を含む分子集団系に対しては1日あたり6.5ナノ秒という性能を達成したという。
同ソフトウェアは従来のようにタンパク質1分子や細胞膜、糖鎖、核酸などの生体分シミュレーションも可能で、今後、創薬研究などに幅広く適用されることが期待される。