航空機とIT (48) 飛行安全とIT(1)自動化による安全性向上
昔の高度計は3針式といって、同じ文字盤の上を複数の針が回っていた。要するにアナログ時計と同じで、100フィート単位・1,000フィート単位・10,000フィート単位の針が同じ文字盤の上を回る。単位によって針の長さが異なる。(3針式高度計の例)
長さを変えないと区別がつかないし、細かい違いの方が正確な読み取りが求められるという考えから、こういう形にしたのだろう。そこで高度を読み取るには、どの単位の針がどの数字を指しているかを読み取って、頭の中で合算する必要がある。
ところが3針式では、急いで高度を読もうとしたときに読み取りミスを起こす可能性は否定できない。しかし一方で、針が動いてくれる方が「傾向」を読み取るには具合が良いという事情もあるので、3針式は止めて、大きな単位は数字のカウンター表示にして、細かい単位は針を動かす形を用いるようになった。
今ならグラスコックピット化してコンピュータ・グラフィック表示するのが普通だから、こういう表示形態の変更はソフトウェアをいじるだけで済む。
昔なら高度計を取り替えなければならなかったところだ。と、強引にコンピュータがらみの話題にこじつけてみる。
○人的ミスをシステムでカバーする
高度計の話はマン・マシン・インタフェースの問題だが、操作ミスをシステムがカバーする仕組みもいろいろある。