航空機とIT (48) 飛行安全とIT(1)自動化による安全性向上
、両脚は方向舵ペダルでヨー(左右の向き)、左手はスロットルレバーでエンジン推力を加減するのに加えて、排気ノズルの角度調整もやらないといけない。しかも、他の操縦操作との調和をとりながらだ。
特に難しいのは、エンジン推力を下向きにして機体を支える状態(垂直離着陸時はこれ)と、普通に前進して主翼の揚力で機体を支える状態の間を行き来する、いわゆる遷移の場面だろう。たとえば着陸の場合、徐々に速度を落としながら、排気ノズルを下に向けて機体を支えていかないといけない。
遷移の際には速度を落とすが、速度を落としすぎると失速する。おまけに、速度を落とすにはエンジン推力を絞るが、ノズルを下向きに切り替えてエンジン推力で機体を支える段になると、今度は全開にしないと機体を支えられない。そんなややこしい操縦操作をミスなくやるのは大変である。
その点、最近のF-35BやV-22といった機体は自動化が進んでいるから、それだけ遷移飛行などの場面における操縦操作は楽になっている。
つまり、操作ミスに起因する事故が起きにくくなるということだ。
ただし、操縦操作は楽になったが、たとえば乱気流やダウンバーストなど、周囲の気流から影響を受けることに変わりはない。