2015年6月8日 11:00
巨人Intelに挑め! - 80286からAm486まで (5) AMD、80386のリバースエンジニアリングに着手(前編)
後にIntel Insideというキャンペーンに発展したものである。
AMDにあって、Intelとの市場での競争に明け暮れた私にとって、Intelは常に大きな脅威であったが、このキャンペーンを初めて目にしたときには本当に驚いた。自らの市場での優位性を維持するために自らが生んだアーキテクチャを殺しにかかる、まるでギリシャ神話にでも出てくるようなテーマに、Intelという会社の徹底ぶりにショックを受けたのを覚えている。
当時のIntelのCEOであったAndy Groveは後にリーダーシップに関する本を書いたが、そのタイトルは"Only the Paranoid Survive(偏執狂だけが生き残る)"であったことを考えるとうなずける点もある。
○独自開発に着手 – コードネームは「Longhorn」
Intelからの80386のライセンスを断念せざるを得なかったAMDは独自開発の80386互換のプロセッサの開発に着手する。テキサスの開発チームに因んで開発コードネームは"Longhorn"と決まった。リーダーは当時まだ30代のBen Oliver、Oliverを支えるのはAMDプロセッサ設計部隊から選ばれた血気盛んな精鋭チームであった。