2015年6月8日 16:14
光の伝搬経路を自由に調整できる光学迷彩装置の実現へ前進 - 理研と東工大
理化学研究所(理研)と東京工業大学は6月8日、非対称な光学迷彩を設計する理論を構築したと発表した。
同成果は理研理論科学研究推進グループ階層縦断型基礎物理学研究チームの瀧雅人 研究員と東京工業大学量子ナノエレクトロニクス研究センターの雨宮智宏 助教、荒井滋久 教授らとの共同研究グループによるもので、米科学誌「IEEE Journal of Quantum Electronics」に掲載された。
光学迷彩は、光を自在に曲げる装置によって、物体や人を見えなくする技術で、最近ではメタマテリアルという人工素材が注目を集め、透明マントのような装置の研究が進められている。これまで提唱されてきた光学迷彩装置は、入射した光が1つの閉領域を迂回するようにすることで、外部から見た人にとって、あたかもその領域内に何も存在しないように見せるという仕組みとなっており、外から光が入らないため、外部だけでなく内部からも見えない「対照的」な振る舞いを示す装置しか実現することができなかった。
今回の研究では、「内部から外部を見ることができるが、外部から内部は見えない」という「非対称性」を持つ光学迷彩装置を実現するための理論を構築した。