2015年6月25日 18:37
東大、布地にプリント可能な高導電率の伸縮性導体を開発
東京大学(東大)は6月25日、1度のプリントだけで、布地に電子回路を形成できる高い伸縮性を有した導体を開発し、それを用いたテキスタイル型(布状)の筋電センサを作製することに成功したと発表した。
同成果は、同大大学院工系研究科の染谷隆夫 教授、同 松久直司 大学院生らによるもの。詳細は、6月25日(英国時間)の英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。
これまで導電率の高い導体や、伸長性が高い導体は存在していたが、その両方を高い値で両立できる伸縮性導体はこれまでなかった。今回、研究グループは、フッ素系ゴムに添加物として銀フレークを添加したほか、さらにフッ素系の界面活性剤を加えることで、伸長性215%と、その際の導電率182S/cmという200%以上の伸縮性導体の中で世界最高クラスの導電率を実現することに成功したという。
この界面活性剤を入れることにより、なぜ伸長歪が200%を超えても高い導電率を維持できるかのメカニズムについて染谷教授は、「塗布後の乾燥の際に、界面活性剤の作用により布地の表面に銀が析出し、銀同士の導電性ネットワークを自己形成することで、導電性が向上したのではないか」