2015年7月27日 17:30
新型iPod touchから読み解くアップルのデバイス戦略 - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
家庭で楽しめる低価格版iPhoneとして登場した、という側面がある。その性格が強く現れていたのが、2012年版のiPod touchだった。
当時、アップル関係者は筆者にこう話した。「子供が最初に持つアップル製品がこれになる、と思っている。ネット機器としても、カメラとしてもこれを最初に触れる。だから本物じゃなきゃいけない」。
iPhoneと同じ要素を持ちつつ、低価格な「マイファーストiPhone」としての位置づけが重要だったわけだ。そうした要素がもっとも強く、「一般市場への拡大」を意識していた製品だと言える。
例えば、2012年版には専用ストラップの「iPod touch loop」があった。これが用意された理由は「カメラならストラップがあるのが当たり前だろう?」(アップル関係者)ということだった。
しかし、その状況は2013年から2014年の間に、変化した。
スマートフォンは高価格モデル一辺倒ではなくなり、Androidを中心に低価格製品が増えていく。長期契約に伴う割引などを使えば、ハイエンドスマホでも安く入手できるようになる。市場がアップルに求めているのは低価格iPhoneであり、iPod touchではない、という状態だった。