2015年8月14日 10:00
コンピュータアーキテクチャの話 (335) キャッシュの実装を世代ごとに変化させてきたNVIDIA
テクスチャキャッシュはグラフィックスでは貼り付ける壁紙のパターンを格納するメモリであるが、従来からリードオンリーのデータを格納するキャッシュとしても利用されてきた。しかし、テクスチャキャッシュと一体化したことが原因なのか、MaxwellではL1Dキャッシュはリードオンリーになり、レジスタのSpill/FillにはL2キャッシュが使われることになった。
図3-20と図3-25を見比べると、シェアードメモリとキャッシュでは、行アドレスの供給方法が大きく異なる。シェアードメモリでは各バンクにアドレスデコーダが必要であるが、キャッシュの場合はバンクごとにタグマッチ回路を設けられないので、32バンク共通の1つのデコーダがあれば良い。このため、シェアードメモリとL1Dキャッシュを一体にするFermiやKeplerでは、回路的にはある程度の無駄が出ていると思われる。
これと比べると、テクスチャキャッシュはキャッシュであるので、タグマッチ回路を持っており、これを拡張してL1Dキャッシュにも利用できると思われる。また、バンクごとにデコーダを必要としないので、データメモリ部のビット密度を高めることができると考えられる。
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