2015年8月19日 09:00
隕石衝突でDNA構成分子が生成 - 東北大などが模擬実験で確認
東北大学、物質・材料研究機構(NIMS)、広島大学は8月18日、生命誕生前の地球の海洋に隕石が衝突する際に起こる反応を模した実験を行い、無機物からDNAおよびRNAの構成物質が生成することを明らかにしたと発表した。生命が生まれる前の地球における遺伝物質の新たな供給源を示唆する成果だという。
同成果は東北大学理学研究科の古川善博 助教、NIMSの小林敬道 主幹研究員、広島大学大学院理学研究科の関根利守 教授らの研究グループによるもので、8月17日公開の欧州科学誌「Earth and Planetary Science Letters」に掲載された。
生命の遺伝情報はDNAに記録されており、その情報はRNAを介してタンパク質の合成に使用され、タンパク質は生体内のさまざまな反応をコントロールしている。これらの物質を構成する核酸塩基やアミノ酸、リボースなどの有機物は生命起源にとって不可欠とされているが、生命誕生期の地球でこれらの物質がどのように誕生したのかはわかっていなかった。
これまでの研究で、鉄を含む隕石の衝突によって有機物が生成するという仮説が提案されており、古川助教らの研究グループは、この仮説に基づき2009年に隕石の衝突によりアモルファス炭素を炭素源として、最も単純なアミノ酸であるグリシンが生成することを突き止めていた。