2015年10月26日 10:00
航空機とIT (66) 航空機用電子デバイス(8)表示デバイス[その2]
第60回で「表示デバイス」と題して、陰極線管(CRT : Cathode Ray Tube)と液晶ディスプレイ(LCD : Liquid Crystal Display)を取り上げた。しかし、この時に取り上げていなかった表示デバイスがあるので、今回はその話をしよう。
○頭を下げずに済むHUD
もともと戦闘機に導入が多かったのだが、その後、軍用輸送機や民航機でも導入が増えているデバイスに「HUD(Head Up Display)」がある。
その名のとおり、視線を計器盤に落とさなくても済むようにするためのディスプレイ装置である。計器盤の上方、パイロットが機の正面を向いた状態で視線に入る位置に、情報表示用のハーフミラーを取り付ける。ハーフミラーに投影する映像はCRTなどを使って表示しており、そこからレンズを使ってハーフミラーに映像を導いて投影する。
HUD自体は目の前・数十cmぐらいのところにあるが、表示する映像の焦点は無限遠になっているので、焦点を合わせ直す必要はない。外を見ていると、そこにシンボル表示が一緒に現れるというイメージだ。
HUDの利点は、情報を得るのに、いちいち計器盤に視線を落とさなくても済む点にある。