くらし情報『白騎士、見参 - 中国の新型ロケット「長征六号」が切り開く未来 (2) 中国はロシアにしか成し得なかったロケット技術を手に入れた』

2015年10月27日 11:00

白騎士、見参 - 中国の新型ロケット「長征六号」が切り開く未来 (2) 中国はロシアにしか成し得なかったロケット技術を手に入れた

そこで、酸化剤か燃料かを多めに足して燃やし、わざと未燃ガスが残るようにすることで、タービン駆動用ガスの温度を下げているのだ。

燃料リッチにすべきか、酸化剤リッチにすべきかは、使う燃料によって変わる。たとえば液体水素を使うエンジンの場合は、理論的に水素リッチのほうが性能が上がることから、日本のH-IIAロケットや、米国のスペース・シャトルで使われているエンジンは水素リッチで動いている。

一方、ケロシンを燃料に使うエンジンの場合は、酸化剤リッチのほうが高い性能が出せる。またケロシン・リッチにすると、高温の中でケロシンが分解されてススが発生し、配管やタービンに付着してしまうため、実用には向かないことから、必然的に酸化剤リッチにするしかない。

しかし、酸素はただでさえ反応性が強い上に、プリ・バーナーで加熱されることで、さらに反応性はより高くなり、金属を簡単に腐食させてしまう。それからエンジンの部品を守るためには、特殊なコーティングを施すなどの、高い冶金技術が必要となる。これまで、酸化剤リッチ二段燃焼サイクルのケロシン・エンジンの実用化に成功したのは、ソヴィエト連邦/ロシアだけだった。
米国は1990年代に、ソ連/ロシアで開発された酸化剤リッチ二段燃焼サイクルのケロシン・エンジンの技術を入手し、米国内で生産しようとしたが、現実的な予算や人員の範疇では難しいことがわかり断念。

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