くらし情報『白騎士、見参 - 中国の新型ロケット「長征六号」が切り開く未来 (2) 中国はロシアにしか成し得なかったロケット技術を手に入れた』

2015年10月27日 11:00

白騎士、見参 - 中国の新型ロケット「長征六号」が切り開く未来 (2) 中国はロシアにしか成し得なかったロケット技術を手に入れた

そして今回の長征六号の打ち上げ成功で、YF-100は実際の飛行にも耐えられることも証明された。これにより、同じエンジンを使用する長征七号と長征五号の打ち上げへの関門も、またひとつ開かれたことになる。

何より、米国ですら一度は音を上げたエンジンの開発に成功したことは、この分野に限ったことではあるが、しかし確実に、中国が米国に一歩先んじたことを意味する。また、ロシアにしか存在しなかったロケット・エンジンの技術が、中国に受け継がれ、独自の進化を遂げたことは、世界のロケット開発史にとっても大きな意味をもつ。

なお余談だが、米国では現在、ケロシンではないものの、同じ炭化水素系のメタンを燃料とする酸化剤リッチ二段燃焼サイクルのエンジンの開発が進んでいる。また、フル・フロウ二段燃焼サイクルという、通常の二段燃焼サイクルよりももっと効率の良い、しかし難しい仕組みのエンジンの開発も進んでいる。

さらに、RD-120系の技術は、ウクライナを経て、インドにも渡ろうとしている。

現時点ではまだ、中国が成し遂げた成果は際立って見えるものの、そう遠くないうちに、酸化剤リッチ二段燃焼サイクルのケロシン・エンジンの技術は、ロケットの世界ではごくありふれたものになるかもしれない。

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