IDTは、シリコンバレーで開催されたアジアおよび欧州の技術ジャーナリスト向けイベント「euroasiaPRESS」において、ワイヤレス給電の普及に向けた同社の戦略を語った。
○ワイヤレス給電普及のために越えねばならぬ深い溝
まず、同社のコーポレート・マーケティング担当VPのGraham Robertson氏(図1)が、1831年、マイケル・ファラデーによる電磁誘導現象の発見に端を発するワイヤレス給電の歴史を紹介した(図2)。「1890年にはすでにニコラ・テスラにより無線送電システムが提唱されており、ワイヤレス給電の歴史は多くの人々が考えるより長いけれども、その後、つい最近まで"百年の空白"があった」と述べた。
Robertson氏は、「現在、ワイヤレス給電は、豊富な開発リソースのある大手企業が"アーリーアダプター"として取り組む時期から本格的な普及期へ移行する端境期にあり、キャズム(マーケティングに関するキャズム理論において、アーリーアダプターで形成される初期市場からマジョリティーによるメジャー市場へ移行するのを阻害する深い溝)に直面している(図3)。キャズムを越えた先には大きな市場が広がっているが、この深い溝を越えるのは大変だ(図4)。