順天堂大など、遺伝性難聴で最も多い「GJB2変異型」の原因を解明
そこで研究チームはさらに詳しく調べることにし、その結果、コネキシン26の変異により分断されたギャップ結合プラークの周囲では、分子「カベオリン1」および「同2」の量が増加し、これらが行う「エンドサイトーシス」と呼ばれる細胞膜の取り込みが過剰になることがギャップ結合崩壊の原因である可能性が示唆されたのである(画像5)。
加えて、研究チームは患者と健常者のコネキシン26およびほかのコネキシンを同時にヒト培養細胞にて発現させ、ギャップ結合プラークの形状と物質輸送能の変化の解析を実施。すると、患者が持つ変異型コネキシン26やコネキシン26が欠損した状態のギャップ結合プラークは、やはり断片化されており、それに伴い物質輸送能も大きく低下していることが判明したのである(画像8)。
画像8は、ヒト細胞と患者・健常者の遺伝子を組み合わせて内耳の病態を再現した際の蛍光顕微鏡画像。ヒト培養細胞に健常者の正常コネキシン26遺伝子および難聴者の変異遺伝子を内耳に存在するほかのコネキシン(コネキシン30)と共に導入することにより、内耳での病態を再現することが可能となった。ヒト遺伝性難聴で検出されているコネキシン26・R75W変異およびコネキシン26欠損状態においては、難聴モデルマウスと同様、ギャップ結合プラークが断片化していることが判明。