謎だらけの深海生物「テヅルモヅル」に名前を付けたい! - 「分類学者」の研究室に潜入してみた
もし、生きているモヅルを見ることができれば、ものに絡む腕、プランクトンをつかむ腕など、それぞれの腕の役割がわかるのではと考えています。標本からでもある程度は判断できるのですが、やはり生きているものを見るのがわかりやすい。
―形や生態から判断するだけでなく、DNA解析などの手法も用いることもあるんですか。
もちろん行っています。テヅルモヅルのうち85~6種はDNA解析をしていますね。DNA解析では主に、呼吸やタンパク質合成にかかわる遺伝子を見ています。この遺伝子はどの生きものも持っているものなので、ほかの生物と比較しやすいというメリットがあります。
○テヅルモヅル研究者の野望とは
―岡西先生はクラウドファンディングで「キヌガサモヅル」の分類に関する研究資金を集められていましたよね。
その後、何か新しい発見はありましたか。
あのプロジェクトでは、キヌガサモヅルが本当に1種であるのかどうかを調べました。私は、色や形の違いからキヌガサモヅルは2種以上に分けられるのではと予想していましたが、当時はキヌガサモヅルにしか分類できなかったんです。研究の結果、やはりそれ以上の種がいるということがわかりました。