2016年1月15日 13:00
飛行機のように飛ばせる「再使用ロケット」は実現するのか?(後編) - 再使用は可能、しかし低コスト化につながるかは未知数
たとえば米国の軍事衛星などを打ち上げる基幹ロケット「アトラスV」や「デルタIV」を運用するユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は、次期基幹ロケットとなる「ヴァルカン」で、第1段ロケット・エンジンのみの再使用を検討している。同社によると、スペースXのファルコン9のように、第1段機体を丸々回収して再使用するのは無駄が多く、最も高価で複雑な第1段エンジンのみを回収するほうが良いという。
ヴァルカンは打ち上げ後、エンジン部分のみを分離する。エンジン部分はパラシュートで降下し、それをヘリコプターで引っ掛けて回収する。一見奇抜にも思えるが、米国はかつて、偵察衛星が撮影した写真のフィルムをカプセルに入れて地球に落とし、それをヘリコプターで引っ掛けて回収するということをやっており、前例がないわけではない。
またフランス国立宇宙研究センター(CNES)でも、ロケットの第1段エンジンのみを回収する「アデリン」という計画が始まっている。アデリンはヴァルカンのエンジン回収計画とは少し違い、エンジンと電子機器が収められたロケットの下部が無人の飛行機となり、タンクと分離された後単独で飛行し、地上に着陸する。